岩崎芳太郎の「反・中央集権」思想

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「地方で稼いだ金は地方で使う」仕組みをつくれ

地方経済を復活させるためには、地方経済におカネを流す仕組みがなんとしても必要です。地方にお金が回る仕組みを作るために、政策投資銀行の地域開発部門を復活させるべき。原則は「地方で貯めた金は地方で使う」です。

民間の資本蓄積を許さない「公地公民」思想

民間の資本蓄積を許さない「公地公民」思想では、日本においてはこのようないびつな経済がなぜ形作られていたのか考えてみましょう。
日本では、資本家による投資によって経済が循環する仕組みが確立されていません。なぜならば、相続税が高過ぎるからです。つまり、資本家という存在が育たないような仕組みになっているのです。
まさに三世一身の法で、三世代続けばどんな金持ちもお上に財産を取り上げられて裸になってしまいます。そして霞が関の役人たちは「どんな人間でも裸一貫から働き始めればまじめに働くんだ」と、いまだに信じているようです。そこには、「人間は個人としての権利を生まれながらに持っている」といったジョン・ロックのいう、自然人に対する社会契約論的な認識はありません。しょせん、「公地公民」の発想の範囲を出ていないのです。

であるならば、日本が「公地公民」の発想に基づいた税制や社会制度になっている限りは、資本家は投資という形で積極的にリスクを取ったりはしないでしょう。どうしても他人資本に頼った疑似資本主義にしかならないのです。
日本が戦争に負けてアメリカ軍が進駐してきたときのことを考えてみてください。彼らは日本を二度とアメリカに対して戦争起こせない国にするために、まず財閥を解体しました。またも農地法を作って小作人を解放し、資本が集中しないように日本を改造してしまったのです。それプラス、日本特有の嫉妬の論理もあって、いまだに相続税率が暴力的に高いままです。つまり日本は私有財産制を本質的には是としていない国家なのです。アメリカの都合で、会社法が改正され、持株会社制は認められるようになりましたが、相続税や農地法など、敗戦国のままです。余談ですが、地方自治も敗戦国のままです。なぜなら、憲法がそうだからです。

農林中金は運用能力もないくせに複雑な金融商品を買うな

私は、地方で貯めたお金が地方にちゃんと再投資される仕組みをつくるべきだと思います。
地方に再度お金を循環させるためには、地方に長期資金を供給する政策投資銀行を復活させることです。そもそも政策投資銀行は、つぶれかけの大企業に緊急融資をさせるためにつくった銀行ではないのですから。

私は、地方で貯めたお金が地方にちゃんと再投資される仕組みをつくるべきだと思います。 地方に再度お金を循環させるためには、地方に長期資金を供給する政策投資銀行を復活させることです。そもそも政策投資銀行は、つぶれかけの大企業に緊急融資をさせるためにつくった銀行ではないのですから。  前世紀末までは、地方で蓄積された富を長信銀が長期の金融債で集めて、政策的に地方にも融資を行っていたわけですが、小泉竹中改革において預金者保護や市場原理主義の名の下に、そのような中央=地方の資金循環の仕組みが完全に破壊されてしまいました。 地方で農協が集めたお金は、農林中金が吸い上げて運用していますが、サブプライムローンでも巨額の損失を出し、その結果各県信連から1兆6000億円もの増資を募ることになりました。 つまり地方が苦しみながら稼いで貯めたお金がアメリカで運用されて露と消えてしまったのです。 農林中金の人間は、県信連が間に入っているので農民から直接を文句を言われることはありません。単協の組合長から怒られることもありません。せいぜい怖いのは、全国にある県中央会の会長くらいでしょう。  外資からすれば、農林中金は「おいしいカモだ」と思われています。外資のいい加減な運用の片棒を稼いだ農林中金の人間は巨額の損失を出しても東京のレストランで高級ワインを飲んでいて、地方の農家はさっぱりおいしくないという話です。BIS規制において「国内業務だけしかやっていないから自己資本比率は4%でよい」とされている農協が、そんな高度な金融商品の運用など行う必要があるのかと言いたいものです。 こんなことではたまりません。それでなくても地方に流れ込む金は減っているのですから、地方の人たちが稼いだ金は地方で回すような仕組みくりがぜひとも必要だと思うのです。 前世紀末までは、地方で蓄積された富を長信銀が長期の金融債で集めて、政策的に地方にも融資を行っていたわけですが、小泉竹中改革において預金者保護や市場原理主義の名の下に、そのような中央=地方の資金循環の仕組みが完全に破壊されてしまいました。
地方で農協が集めたお金は、農林中金が吸い上げて運用していますが、サブプライムローンでも巨額の損失を出し、その結果各県信連から1兆6000億円もの増資を募ることになりました。
つまり地方が苦しみながら稼いで貯めたお金がアメリカで運用されて露と消えてしまったのです。
農林中金の人間は、県信連が間に入っているので農民から直接を文句を言われることはありません。単協の組合長から怒られることもありません。せいぜい怖いのは、全国にある県中央会の会長くらいでしょう。

外資からすれば、農林中金は「おいしいカモだ」と思われています。外資のいい加減な運用の片棒を稼いだ農林中金の人間は巨額の損失を出しても東京のレストランで高級ワインを飲んでいて、地方の農家はさっぱりおいしくないという話です。BIS規制において「国内業務だけしかやっていないから自己資本比率は4%でよい」とされている農協が、そんな高度な金融商品の運用など行う必要があるのかと言いたいものです。
こんなことではたまりません。それでなくても地方に流れ込む金は減っているのですから、地方の人たちが稼いだ金は地方で回すような仕組みくりがぜひとも必要だと思うのです。

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