JAL再建

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JAL再建、わたしならこうする part2

路線を指定せずに羽田発着枠を航空会社に丸与えするのはおかしい。むしろ発着枠を航空会社以外に開放し、路線維持に対する補助を与えられるよう、JAL再建と同時に航空法や航空行政を見直す努力をするべきです。

羽田枠を航空会社以外に開放せよ

もうひとつ残っている大問題が羽田枠の問題です。
空港の発着枠は航空会社に認められることになっています。路線を指定して発着枠を与えているわけではありませんから、不採算路線だということで飛行機が飛ばない路線がたくさんあります。

しかし私はこれを逆に考えて、「航空会社と交渉して路線を取ってきたところに羽田の発着枠を与える」ということにしてもよいのではないかと思います。つまり、実質的に発着枠を航空会社以外に開放するということです。極端な話、私が羽田空港の発着枠を取れないかと考えているのです。羽田空港の第一義的な存在意義は、一人でも多くの日本国民の首都への利便的アクセスであるはずです。

羽田枠を航空会社以外に開放せよ鹿児島県の種子島の空港はYS-11しか飛んでいなかったのですが、日本エアシステムがジェット化するという約束に基づいて500億円かけて06年に新空港が建設されました。しかし同社が日本航空に合併されたということもあり、滑走路を延長したのにいまだにジェット機が就航していません。
種子島の人口は4万5000人、隣の屋久島の人口は1万5000。あわせて世界遺産である屋久島(年間で数十万人の観光客が来島しています)とロケット発射場のある種子島には、毎年多くの観光客が訪れます。そう考えると、私は羽田=種子島路線に飛行機を飛ばしたとしても十分採算はとれると思います。人口8000人の八丈島には一日3便飛んでいるのですから。
もうひとつの考え方としては、航空会社が地元の期待にこたえようと努力して、不採算になりそうな地方路線に飛行機を飛ばすのであれば、当局が、羽田発着枠を1便よけいに航空会社に認めるという方法です。

まず離島ありき。国民から見て有益な航空体系を

・まず離島ありき。国民から見て有益な航空体系を
県庁所在地以外の地方路線や離島路線は、かなり虐げられていることは事実です。そうした地域に住んでいる人たちから見れば、なぜ羽田の発着枠が、自分たちの頭を素通りして割り振りされているのか、羽田というのは日本の国際競争力を高めるためだけの空港なのか、自分たちの利便のためにある航空ではないのか、という感が強くあります。
羽田と人口の多い地域だけを飛ばせば航空会社の経営は楽になるのかもしれませんが、それでは交通ネットワークとしての意味がありません。

まず離島ありき。国民から見て有益な航空体系を私からすれば、シビルミニマムを達成するために、羽田枠はまず離島に配るべきだと思います。次に県庁所在地の空港に配ります。そうして地方路線を飛ばす航空事業者を募り、赤字が出たらどの程度の補助をするといったことをあらかじめ約束して、飛行機を飛ばしてもらうという方法が、地方にとっても、航空業界にとっても一番良いのではないかと思います。北海道の札幌以外の空港も、そういう考え方が採用される必要があります。

このように国民から見て有益な航空交通ネットワークをつくるための法改正やルールづくりを、日本航空の再建と同時に考えるべきではないでしょうか。
別に日本航空や全日空でなくても、スカイネットアジア航空やスターフライヤーズが離島航路に飛行機を飛ばすというのであれば、彼らに飛行機を10機買って補助するという方法も考えられます。「あっ」と気がついたときには、日本の空は、JAL-ANAの2社体制ではなく、3社体制もしくはそれ以上の健全なプレーヤーが競争している体制になっているかもしれません。それが本来の規制緩和の意味なのですから。
実際、欧米では、規制緩和以降、既存事業者を凌駕して、素晴らしい業績を実現している新規参入者がいっぱいいるのですから。また、人口も少なく、経済力が劣る韓国でも大韓航空とアシアナ航空の2社が、更にそれより人口の少ない台湾でも中華航空とエバー航空の2社がそれなりに頑張っています。この事実を見た時に、この国の航空行政と航空ビジネスのお粗末さを否定できる人がいるのでしょうか。

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