岩崎芳太郎の「反・中央集権」思想

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「地方主権」はオーストラリアに学べ

14年ぶりに自由国民党が政権奪取したクィーンズランド州。政治家のリーダーシップによって役人と政治家の数を減らし、製造業・農業。観光業・資源関連の企業や起業家を支援して経済を活発にする地方を振興を実行中です。

政府の仕事は外交、国防、金融・通貨のみ、あとは地方の自由

実は、私、10月15日から22日まで、オーストラリア出張していました。再開2回目の更新の文章も、今回の分も、オーストラリアで執筆、もしくは書き始めた文章であります。

オーストラリア出張の目的のひとつにクィーンズランド州のPremier(首相と訳す) キャンベル・ニューマンさんと面談することがありました。実際、面談時間は30分程度でしたが、この3月に14年ぶりに労働党から政権を取り戻した49歳の若い自由国民党のリーダーは、実行力、決断力など政治家として必要な資質を持ちあわせているように思えました。
李登輝さんにお会いした時もそうでしたが、わが祖国日本にも政治の世界において、政治家としての信念と資質に関し、このレベルのリーダーが然るべき人数いてくれたら、日本国民もこんなに苦労しなくてすむのではないかと強く感じてしまいました。

政府の仕事は外交、国防、金融・通貨のみ、あとは地方の自由ところで、クィーンズランド州の政治の話に戻します。日本では国のシステムが極端な中央集権になっているので、オーストラリアの1つの「ステート(州)」のプレミア(Premier)を日本語訳は「首相」と訳しますが、州知事程度にしか考えない人が多いのです。
特に永田町と霞ヶ関の人々は、中央集権システムが世界中で政治的には普遍的なシステムと当然の如く考えていますので、オーストラリアのような地方主権のシステムについて全く理解できません。
しかし、実情はまるで異なっていて、オーストラリアは私の言う「地方主権」の国のまんまであって、連邦政府と州政府との関係は日本人が抱く「上下関係」もしくは「主権・分権の関係」ではありません。連邦政府は「外交」「国防」「金融・通貨」の三つを扱い、残りの執権は州に帰属しています。
一例で言えば、西オーストラリア州は3年ぐらい前にウラン鉱石の輸出を認めましたが、クィーンズランド州は、未だ「ウラン鉱石」は輸出禁止です。天然資源の輸出の承認や資源開発への投資等の承認権は各州が持っているのです。

TPP問題のヒントは畜産県と畜産州の話し合いにあり

余談になりますが、我が社は、クィーンズランド州のロックハンプトン市という町でリゾート事業を30年間やっていますが、そのリゾートに併設して牧場もやっています。この牧場で、最近、和牛の育成を始めました。
わが国で、TPPの問題がいろいろと議論されますが、我が国でのTPPの問題の取り扱われ方が、中央政府どうしの総論や建前論での交渉がなされていて、実質的な問題解決に対して知恵が使われない状況は私にとっては、残念でしょうがありません。

TPP問題のヒントは畜産県と畜産州の話し合いにあり票欲しさの政治家や朱子学者の官僚たちが真のソリューションに無頓着である一方、単に、「Yes」or「No」のどちらかの立場を政治的に装っているだけの日本では、最終的に、内向きの視点でアプローチを行なった多くの過去の重大な国際問題で失敗を犯した如く、今回も結局は失敗を犯し国益を損なってしまうのではないかと危惧しています。
私は、畜産県である鹿児島の事情も、そこそこ知っていますし、オーストラリア側の状況も勉強しました。そういう意味でTPPにおける畜産の問題は単純な「Yes」or「No」のアプローチでなく、連邦中央政府を超えて畜産県と畜産州が話し合いを行なうことで、意外とベストソリューションが見つかるような気がしてならないのです。

ちなみに現在、アメリカとオーストラリアには和牛協会があり、両協会は連携を取り合って和牛ビジネスにおける主導権を握るべく色々と手を打ちつつあります。中国では非合法で持ち込まれた精子で生まれた和牛の育成が始まっています。そしてこれも非合法な形で日本の肥育ノウハウの移転が進行しています。
日本が生み出した和牛という遺伝子資源が他国の戦略産業となっていくのではないかとの危惧が杞憂となればいいですが・・・。

どこかの国に似ている、役人と規制の数が増えだけの労働党政権

再び、本題に戻れば、前述のように、オーストラリアでは州政府が実質的に内政をとりしきっているのですが、クィーンズランド州において、14年ぶりに政権交替がおきて、労働党から自由国民党の政権にかわりました。
プレミアのニューマンさん以外に数人の閣僚ともお会いしました。その人々が、私に言ったことは、わたくし的には、今の日本に、そして今の鹿児島にとって耳を傾けるに値する重要な参考意見となるべきものでした。少なくとも私にはそう思えました。サイトで是非とも紹介させて頂きます。

どこかの国に似ている、役人と規制の数が増えだけの労働党政権労働党政権時代で、役人の数が増え、規制の数が増え、何もしない、何もさせない政府となってしまった。そして、クィーンズランド州は経済が弱くなり活力がなくなった。
州都ブリスベンなど都市部のみが富み、役人だけが高い所得を得て、地方や中小企業や商売をする人が疲弊した。
労働党政権の役人主導型執政には、企業や起業家を育て、豊かになった企業や起業家そして資本家から、州やコミュニティーに富の還元をうながすという発想がない。だから、規制や徴税を強化してしまい結果、そういう人々のやる気をそいで、力を奪い、疲弊させている。最終的には州やコミュニティーも競争力を弱めてきている。
自由国民党としては、「マニュファクチャリング」「アグリカルチャー」「ツーリズム」「リソーシズ」に力を入れて、やる気のある人を支援して地方を振興して、企業を育てて、結果としてクィーンズランド州を活性化し、豊かにしていく。
役人の数を大幅に減らし、政治家がリーダーシップをとってやっていく。まずは増えた規制を取り払い、企業や起業家を支援して投資を増進させ経済を活発にしていく。

前政権の労働党アナ・ブライ政権は、支持率低下の中で選挙を数ヶ月先送りして、結局は88議席中たった7議席しか取れず、大敗してしまいました。
今の与党は78議席を獲得しています。実に選挙を先延ばしすることしか関心事でない野田政権の行く末を見るようです。政治家が、しかも国の執権を預かっているトップが、そして政治家の集団としての政党が、口先だけでその場を取り繕い国民をごまかして、何とか次の選挙でも政権側に残ろうとする姿ほどあさましく見えるものはありません。日本の国民も馬鹿ではないのに・・・と思います。民主党の政治家さんたちが哀れに見えます。

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